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雑誌バイザシーにて「+湘南SPICE」を連載中の
技拓株式会社、白鳥ゆり子社長のエッセイ。
スローライフの楽しみ方は必見。

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TOWNY MYLIFEプロフィール

本物の湘南スタイルを提唱する注文住宅 技拓株式会社 代表取締役。主に、家づくりのソフト面となるライフスタイルの提案を担当。心が豊かになる暮らし方、湘南での楽しみ方をコラムやイベントを通して紹介している。ブログはこちら

vol.
046

野良猫立寄り所

我が家がある地域は、驚くほど野良猫がいない。去年の秋まで、私が確認したのは黒猫1匹だけだった。たった1匹の野良猫では、さぞや寂しかろうと思っていたら、その猫がひょっこり我が家に顔を出すようになった。

もともと黒猫が欲しかった私は、手なづけてうちの子にしようと思ったのものだから、餌をやったり懐くまでの間の小屋を用意したりと、懸命にご機嫌取りをした。とても静かで臆病なその猫に、「ゾルバ」と名前もつけたが、警戒心から一定の距離を保ち、心が通じ合うのに時間がかかりそうだった。

そうこうしているうちに、突如新参者の野良猫がやってきた。他にも野良猫がいるとは、驚いた。まるで我が家に餌があるのを、どこかで聞きつけたかのように、餌を求めて訪ねてきた。静かなゾルバとは違い、耳が噛みちぎられ体もがっちり、餌をもらっているのに威嚇をする厳つい風貌。この猫が来てから、突然我が家が縄張り争いの場と化し、可愛そうなゾルバは追いやられてしまった。

正直、私はこの野良猫を憎たらしいと思ったけれど、朝晩「ご飯をくれ」としきりにねだってくるものだから、猫好きとしては、無視するわけにもいかない。ゾルバを心配しつつも、日に日に私へ警戒心を解く寄り目の猫に、「ヨーリー」と名付けてやった。

そのヨーリーが、今や骨抜きの甘ったれ猫へと変身し、ゾルバの小屋に住み、お風呂に入れられ首輪をつけて、晴れて我が家の一員となっている。おまけに猫の思惑に人間の私がまんまとハマり、今や小屋も嫌だと言い出して、家の中でくつろぐ有様。

凶暴な野良猫を手なづけたつもりが、猫の言いなりになっているのは、実は私なのかもしれない。